みなさん、ご機嫌よう。
真実なんて知りたくない漢、安部です。
さて、今週は安部の恐怖体験最終章となります。
先輩から宿舎の真実を聞かされた安部青年…その運命やいかに…
金縛りにあうときというのは何となく感覚でわかるものだ。
目が覚める瞬間、
あぁ金縛りにあうなと。
先輩に宿舎の真実を聞かされた僕は、
またその日もそんな感覚によって目が覚めた。
”またか…”
体は動かず、でも意識ははっきりとしていく。
いつも通り、じっと待つしかない。
そう思った、次の瞬間。
僕は猛烈な息苦しさに襲われた。
一瞬、何が起こったか分からず気が動転した。
苦しいとかそんなレベルではなく、もはや息ができなかった。
パニックになりながら目を必死に開けてみると、
天井に…
白いナニカがいた…
今になって思えば、そんなの気が動転していて天井の模様か何かがそう見えたんだろうと思う。
でもそのときの僕にはそれがまるで人のように見えた。
いや、見えてしまった。
そんな衝撃も加わり、より一層息ができなくなる。
”このままでは死ぬ”
そう感じた僕はどうにかしてこの場を切り抜ける方法をパニックになりながらも必死で考えた。
”そうだ!霊感があるらしいばあちゃんに頼ろう!”
なんでそんな解決策しか思い浮かばなかったのか不思議でならないが、
そのときはとにかく必死だった。
”ばあちゃん、助けて!”
何度も何度も心の中で叫んだ。
しかし、一向に苦しさからは解放されない。
それでも、
”ばあちゃん…絶対引っ越しのとき何か気づいてたよなぁ…”
”てかこの時間はばあちゃん寝てるしそもそも無理やん…”
とこの状況にツッコミを入れられる程度には冷静になってきた。
そして、次なる一手を打つ。
”そうだ…
幽霊を説得してみよう!”
どうやら冷静にはまだ程遠かったらしい。
”すみません、お名前は存じ上げませんが前の住人さんですかね?”
”あのーこう言っちゃなんですが、僕なにもしてあげられないです”
”いやだって、ばあちゃんは霊感あるみたいですけど僕はまったくないですし”
”何か力になってあげられるなら何とかしてあげたい気持ちはあるんですけど”
”あなたに対して本当に無力なんですよ、すみません”
”でも…もしかしたら…もしかしたらですよ?”
”お隣さんなら霊感があるかもしれません”
”いやもちろんお隣さんが霊感あるかなんて知らないです”
”でも少なくとも僕は全くないので僕よりはマシかと思うんです”
”で、もしお隣さんも霊感がなければ次って形で移動していけばいつかあなたを助けられる人に巡り合えるかもしれません”
”この案、どうですかね?”
結果…
僕は金縛りから解放された。
そう、まさかまさかの説得成功である。
そしてゆっくりと閉じていた目を開いていく。
”頼むからもういないでくれよ”
そこにはいつもと変わらない、何の変哲もない天井があった。
「ふぅ…何とか助かったぁ…」
まだ涼しいはずの季節なのに熱帯夜のように汗だくになっていた。
汗を拭き、コップ一杯の水を飲む。
そして冷静になって思う。
”いやもうここ住みたくない!”
とはいえ他に住む家もないし、しょうがないかと諦めていた…
はずなのに!
その日を境に僕はピタッと金縛りにあわなくなったんだ。
どうやら本当に僕の説得に応じてくれたらしい。
聞き分けの良い幽霊もいるもんだなぁなんて。
当たり前の日常を取り戻した僕は呑気に考えたりして。
ようやく訪れた平穏な日々を大事にしていこうと思う。
それから3日後…
僕の部屋から3つ離れた部屋の住人が自殺をした。
はい!ということで最終章終了でございます。
ひとこと言わせてください。これ本当の話です!
さすがに幽霊のせいで自殺したとは思ってないですけど、タイミングがタイミングなだけに相当焦りましたね。
来週は楽しい話がしたいな!笑
それではまた来週お会いしましょう!