みなさん、ご機嫌よう。
フリースローは外さない、安部です。
さて、2点差・残り6秒・相手のフリースローという絶体絶命の状況から
果たして安部はチームを救えるのか!?というのが今回のお話でございます。
”こんなところで負けてたまるか”
コートに出た5人、いやベンチも含めた全員が同じ気持ちだった。
負けたくない。
まだこの仲間たちと…バスケがしたい。
ピーッ!!!
「フリースロー2ショット」
審判から相手校のシューターにボールが渡る。
ダムダムダム…
シューターが決められたリズムでボールを3度つく。
シュッ…
ガンッ!ガガッ………ダムダムダム…
「ふぅ…」
なんとか1本目は外れた。
ボスの言うようにこんな極限まで張りつめた状況の中で
決め切れる高校生などほとんどいないだろう。
俺は確信していた。
次も絶対に外す。
チラッと逆サイドのゴールを見た。
相手校のガード2人は完全に引いて守りを固めている。
たとえフリースローを外したとしても、
リバウンドを取る or 6秒守り切ればそれで勝ちなのだから当然だ。
このあとの流れを頭の中でシミュレーションする。
リバウンドを取ったらすぐに俺にボールが渡るだろう。
チームで1番速いのは俺だからだ。
センターラインを越えた時点で、おそらく残り5秒。
そして、その時点でコートにいるのは…
元々いたガード2人とシューターだったフォワードの合わせて3人か。
となると…
①3人ともぶち抜いて決める(あわよくばファールをもらって逆転)
②抜けなかったとしても3人を中まで引っぱって、外に走ってくるであろうシューターにパス
これ以外の選択肢はどれも残り時間的に厳しい。
覚悟を決めてやるしかない。
ピッ!
「フリースロー1ショット」
遂に運命を決めるボールがシューターに渡る。
ダムダムダム…
シュッ…
ガンッ!
外したっ!!!
「リバウンドー!!!」
大声で叫びながらすぐにボールを受けられるポジションへ走る。
バシッ!
「外出せ!!!」
センターからパスを受ける。
もう時計の針は動き出している。
迷っている時間は…ない。
考えるよりも先に体が動く。
周りがスローモーションのように流れていく。
ただリングだけを目指してドリブルで突っ切る。
1人目。
右に抜くか左に抜くか。
後ろに控えるガードは左の方がディフェンスがうまい。
右か。
一度左にフェイクを入れて、右から一瞬で抜き去る。
2人目。
このままの勢いで突っ込めば確実にオフェンスチャージを取られる。
なら、どうする。
バックロールから裏に回ってバックシュートか。
右から抜くように左足を前に出す。
相手が反応したその一瞬を逃さず、
左足を軸にしてバックロール。
よし、かかった。
あとはもう飛ぶだけだ。
と、思ったそのとき…
左にいたはずのガードが完璧なヘルプに入ってきた。
”くそっ…読まれたか…”
やはり左のガードはうまかった。
完璧に真正面でとらえられた俺は止まるしかなかった。
そんな俺に追い打ちをかけるように、2人のディフェンスがすかさず囲いにくる。
…でも、これも想定内だ!
「安部!!!」
声がした方にボールを投げる。
確認している暇などない。
あいつなら絶対ここにいる。
そう信じてパスを出した。
だが、無情にも敵の手が微かにボールに触れた。
ボールの軌道がずれる。
ラインの向こう側へ向かうボール。
相手も「勝った」と安堵した…その瞬間。
さきほど俺からパスを受けるはずだったシューターが飛び込み、
そして倒れ込みながらも意地で俺にパスを返した。
目が合う。
”あとは任せたぞ”
ボールを受け取ってからは無我夢中だった。
残り時間は1秒もないだろう。
そのままターンをして飛んだ。
ボールが指先から放れ、
美しく弧を描きながらリングに向かっていく。
ビーーーッ!!!
試合終了のブザーが鳴った。
入れッ!!!
ガンッ!
ガガッ………
ダムダムダム……
ピッ!!!
「青7番!ハッキング!2ショット!」
67対69
残り時間
0秒
まだ終わらない。
いや、終わらせはしない。
最後の最後でファールを貰った俺は、
勝負を決めるフリースロー2本をもぎ取ったのだった。
はい!ということで中編が終了でございます!
今回で終わるつもりだったのに6秒間の話で終わってしまいました…
いやぁそれにしても自分のことではありますが、こんな漫画みたいな展開ってあるんですね笑
次週しっかり締めくくりたいと思いますので、楽しみにしていてください!
それではまた来週お会いしましょう!