有り難し

有り難し

378views

 

「ありがとう」という感謝の言葉は、

「有り難し」(、つまり、有ることが難しい、滅多にない)に由来するそうだ。

 

 

滅多にないことが起こる。滅多にお目にかからないものが手に入る。

「滅多にない」には、どこか自分以外の力、例えば他力だったり幸運だったりが働いている感じがする。

自力でできたり、起こることを少しでも期待していたりしたら、「滅多にない」とは言わない。

 

想像だにしなかったハッピーなものやことが生じる、

そのとき人は、誰かや何かに「有り難し」と両手を合わせて感謝するのだろう。

 

 

 

長く教育をやっていると、多くの家庭を垣間見ることになる。

その中で痛感するのは、「当たり前」が決して当たり前でないということ。

 

朝起きて、学校に行き、友達と話し、宿題をして、部活に出て、ご飯を食べ、夜眠る。

小学校、中学校、高校、そして大学に進学し、就職し、家庭を持つ。

 

この「普通」の生活や進路が、決して普通でないことを、

私は子どもたちや親御さんから教わることができた。

 

 

心がしんどくて全く眠れない、食べたものを全部戻してしまう人。

感受性が高すぎて人との会話がどうしようもなく苦手な人。

思考が深すぎて何気ない選択1つにとてつもなく時間がかかってしまう人。

特性を持っていて、自力では何もすることができなくなってしまった人。

お金がなくて多くのことを諦めなければいけない人。

学校に行けなくなった人、受験を断念した人、突如として両親を失った人。

 

 

 

私たちや私たちの日常は、非常に不安定な釣り合いの上にあって、

いつ何時、そのバランスが崩れてもおかしくない。

 

 

「当たり前」や「普通」と私たちが呼ぶものは、実に有り難いことなのだ。

私たちが平和ボケしているせいで、目を凝らして見つめようとしないせいで、

誰か何かによってもたらされているこの滅多にない日常に、

両手を合わせようとしないだけなのだ。

 

 

 

私たちの今この瞬間が、想像だにしない幸福な時間であることを実感しましょう。

感謝は、想像することによってのみ可能なのです。

 

 

 

 

このところ入試を迎える子どもたちが多い。

受験期の家庭は不安定だから、親御さんや子どもたちから相談を受けることも多い。

 

 

なんて幸せな悩みなんでしょう。

不安や緊張感を持ちながらも受験に臨めるって、素敵ですね。

受験を迎えられて本当によかったですね。

結果がどう転んでも、自力でなんとでもできるから最高じゃないですか。

どうか感謝の気持ちをお持ちください。

 

 

私はそんなトンチンカンな返答をしては、親御さんを困らせるのだった。

 

 

 

 

さて。明日は感謝して、楽しんでやっといで。

 

 

 

カテゴリー

アーカイブ